【サッカー】『アリ・ダエイ』日本を苦しめたイラン代表FWは、知る人ぞ知る、国際Aマッチ歴代最多得点者

YG防衛軍 ★＠＼(^o^)／

■サッカー選手名鑑編『アリ・ダエイ』

　知る人ぞ知る、国際Aマッチ歴代最多得点者だ。その数、実に109。2位にランクされるフェレンツ・プスカシュ
（ハンガリー）のそれが84だから、文字どおり「ケタ違い」の記録と言っていい。

アジア史上に残る、偉大なストライカーだった。身長192センチ。2階から打ち下ろすような打点の高いヘッドで、
次々とゴールネットを揺らす姿から『ペルシャンタワー』（ペルシャの塔）の異名を取った。
ペルシャとは、現在のイランを表す古名である。

　1969年、アゼルバイジャンとの国境に近いアルダビルに生まれた。
イラン・イスラム革命（1979年）やイラン・イラク戦争（1980～88年）といった政情不安の中で多感な少年期を過ごす。
教育熱心で、学業優先を説く実父の目をかいくぐり、ひたすらサッカーに打ち込んだ。

　もっとも、早熟ではない。代表デビューは1993年6月だから、24歳のときである。
そして、3年後にUAEで開催されたアジアカップで鮮烈なゴールラッシュを演じ、大会得点王を獲得。
とりわけ、4ゴールを集めた準々決勝（対韓国）の活躍は語り草だ。

　代表戦における109得点のうち、ハットトリック（1試合3得点以上）は実に8回。
うち半分が4得点という量産ぶりだ（3得点が3回、5得点が1回）。まさに「固め取り」のエキスパートだった。

　1997年からイランを離れ、ドイツ・ブンデスリーガへ。翌年には名門のバイエルンに引き抜かれると、
1999年にアジア年間最優選手賞を手にする。
同年夏からヘルタ・ベルリンへ移籍し、2002年夏まで世界のトップクラスの猛者と渡り合った。

　日本においても、その名は広く知れ渡っている。1993年のワールドカップ・アジア最終予選の日本戦では
決勝点となる2点目をマーク。さらに、4年後のワールドカップ・アジア最終予選・第三代表決定戦では、
一度は日本を突き放す2点目を奪い、日本ベンチを凍りつかせた。また1999年の親善試合でも直接FKをねじ込むなど、
ディフェンス陣の手に余る「日本の天敵」だった。

　もっとも、ピッチを離れた本人は大のつく親日家だ。日本映画界の巨匠、黒澤明監督の手がけた『七人の侍』がお気に入り。
弱きを助け、強きをくじく――というプロット（好漢7人の英雄物語）を、イラン代表における己の使命と重ね合わせていたのだろうか。

　1998年、イランは「アリ・ダエイと、その仲間たち」の働きによって、20年ぶりにワールドカップの本大会へ駒を進めている。「生ける伝説」の面目躍如だった。

そして、2014年に日本の奥寺康彦氏らと並んでAFC（アジア・サッカー連盟）の初代殿堂入り。イランのみならず、
アジアが生んだヒーローとして、歴史にその名を刻むことになった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160221-00010000-asahit-socc